ツナギを着るのが辛くなってきました、夏用・冬用とあるのですが少しでも痩せようと毎年冬用で通しています。成果は見られません、、。
今回、タイトルが「脱輪」。先日遭遇しましたのでお話しします。
休日、家族と21時頃家に帰るとすぐそばの道路に人だかりができ数台の車が停車してガヤガヤしています
事故かなと見に行くと女性ドライバーの車の右前輪が側溝に脱輪しています。なぜ右側?
数人の救援者の方が脱輪したタイヤの下に石などをつめたり、はたまた持ち上げようとしたりしているようです。
「これは出番かな」私たちメカニックはこの様なシチュエーションに遭遇すると不謹慎ですがワクワクしてしまいます。訂正、私だけかも、、
画像は分かりやすくタイヤのみで撮影、回転方向(矢印)はすべて前進方向としてみてください、実際にはもっと深い溝です。
車は国産ワンボックス、普通のFF(前輪駆動)車
少し雨が降っているのもあり自走してみようにも右前輪は空転するばかりを繰り返しているようです。
結果、私に運転を交代させてもらいものの数分で脱出できました。
近所のかたもギャラリーに来ていたので歓声が上がると照れましたが、子供の尊敬する顔を見たときはドヤ顔になっていたかも。
どの様な操作をしたか簡単に言うと、力いっぱいにステアリングを左に切りアクセルを調整しながら少しづつあおって(吹かして)グリンと脱出するわけです。イメージできましたか?
脱出できた理由を知りたい方は、少し長くなりますがお付き合いください。なるべく分かりやすくお話しします。
まずタイヤの接地面の摩擦力と駆動力がポイントです。
普段の摩擦力を数値化し左右50:50とするならば駆動力も左右50:50となります。しかし一方が空転した場合、空転している方のタイヤの摩擦力ほぼ0に対し駆動力は100。つまり駆動力は摩擦力の少ない方に流れてしまいます。
今回の状況としては小雨で右が脱落、左前輪の方はサスペンションが縮み車両前方の重量がかかり右前輪はオーバーに言えばサスがブランと伸びたた状態で重量があまりかかっていない、そして小雨です。摩擦力は左100に対して右0に近い状態かも知れません。
せっかくグリップしている左前輪はタイヤを回して前進しようとするやる気がまったくな無し。
駆動力で言えば左0右100。駆動力を左前輪に戻すことが必要です。そこで右前輪の摩擦力を回復させ限りなく左右50:50に近づける作業をします。
タイヤの下に詰め物をするのも手ですがジャッキで上げてから敷くぐらいしないと効果無しです。
その作業がステアリングを力いっぱい左に切るのです。すると右前輪の前方左側面と後方右側面が
側溝の壁面にあたり摩擦力が生まれるのです。右前輪が回転しづらくなると左前輪に駆動力が伝わり前進しようとします。
口で説明すれば簡単ですが文章にすると分かりずらいですね。
ですがまだ足りません。表現するなら右前輪が自身で側溝を登らなければならないのです。
右前輪の前方左側面と側溝上面のエッジか噛みこみ、右前輪の後方右側面の下に行こうとする力に打ち勝ちグリンと登るのです。(最後の画像)
理由が分かれば操作は簡単ですがコツがあります
シフトDレンジでアクセルを徐々に踏み込み前進しようとした瞬間さらにステアリングを左にグツと切りながらアクセルをブオンと吹かす、グリン!
注意点として、人・他車両は遠ざける、脱出した瞬間停車させるため左足はブレーキに添えておくこと、交通整理などして二次被害の防止をしてください。
条件として、FF車の前輪脱落、タイヤサイズ・側溝の深さにもよりますがタイヤが半分以上出ていること、タイヤが斜めに切れる側溝の幅がある事
今まで何度か遭遇していますが条件がそろっている場合はこの方法で全戦全勝です。
ちなみに軽自動車ならメンズ3人いれば持ち上げられます。持つ場所に要注意。
JAF・ロードサービスが不便な場所でご自身も含め遭遇した場合、時間を有効に使うためにチャレンジする価値があるかもしれません。
ここまで読まれた方は少ないと思いますが、分かりづらかった場合、来店時お声掛けください。